アニスは、セリ科の植物で同じセリ科のキャラウェイやフェンネルなどと外見も似ています。古代エジプトの時代から種子の薬効が知られ、利用されていたという古い薬用ハーブです。種子はやがて商人によってヨーロッパへ伝えられ、同時にその薬効も知れ渡ることになり、魔よけにも使われたのです。古代ローマ時代には、濃厚な肉料理や宴会のごちそう、結婚式の祝宴の最後にアニス、クミン、フェンネルといった種子を焼き込んだケーキを食べるのが習慣でした。その名残でドイツでは、いまなお焼き菓子にアニスの種子が風味付けとして用いられています。

 料理でも種子を乾燥させて風味付けに幅広く利用されています。種子がアニスシードの名で売られているので、自家栽培が可能なハーブです。種子の芳香成分は揮発性なので使う度に砕くようにしましょう。似たような名前にスターアニス(八角)がありますが、まったく異なるものです。

 甘みのある強い香りはリコリス(甘草)やフェンネルに似ています。この風味の主成分はアネトールというオイルで、フェンネルにも含まれているので似たような風味がするのです。だから、フェンネルを風味付けとして使う料理はアニスとも相性がいいのです。

 生の葉はピリッと辛みがあるのでスープの浮き身や軟らかい若葉を細かくきざんでサラダとして用いても良いでしょう。クリームチーズと混ぜてもおいしいのでぜひお試しください。花はサラダを彩るとともにエディブルフラワー(食用花)として使い、ケーキの上に振りかけても彩り豊かになります。

 ティーには種子ばかりでなく、乾燥した葉も加えます。消化を助けたり、おなかが張って苦しい時にガスを抜いたり、胃腸が弱くて消化力が弱いような人は、食後に飲むと良いでしょう。種子を数粒食べながらホットミルクを飲むと安眠効果があり、不眠症にも良いのです。不眠症の人は試してみて下さい。

 風邪や便秘などには、リコリスなど数種のハーブとブレンドして飲む方法があります。お乳を出す促進作用もあるので、授乳中のお母さんにお勧め出来ます。昔から子供が好む甘味なので、子供用の医薬品(飲み薬)に配合したり、たん切りの成分として、せき止め薬にも使われています。