1969年に日本に初めてハーブティーが入ってから13年間、食品として輸入されてきたカモミールが突然、当局によって医薬品の部類と見なされ、ハーブティーとしての輸入ができなくなり、回収命令まで出され日本中からカモミールティーの姿が消えてしまいました。その間、輸入商社は当局に日参し従来のように食品として分類されるように嘆願し続けたのです。

 そのころ、ドイツ(西ドイツ)の国営テレビZDFがその輸入商社をはるばる取材に訪れ、日本政府の西ドイツ産カモミールに対する市場からの締め出しに抗議するニュースが1月1、2日、ドイツ全土に放映され大きな反響を呼びました。翌年、その商社の努力が認められたのか、カモミールを医薬品の部類から食品の部類に移すとの通達が当局から発表されました。カモミールティーが1年ぶりに食品として輸入解禁されたのです。この結果、いつでも、だれでもカモミールを自由に生産し、輸入し、製造加工でき、卸や小売りで購入が可能になりました。

 そのころのハーブティーはハイビスカス、ローズヒップ、フルーツ&ハーブ、ペパーミント、カモミールのたった5種類。わが国で好まれた順番がこの順番だったのです。3番目のフルーツ&ハーブまではさわやかな酸味と赤い色とフルーツ系の甘い香りが人気でしたが、4番目のペパーミントはハッカの香りだけ、5番目のカモミールに至っては、においが臭いと不人気でした。

 海外旅行者が増えてくると、行った先々で彼らは英国、米国ではスコーンやドーナツに、ドイツではワッフルに、フランスではクレープに、イタリアではティラミスに、スペインや中南米ではタコスに、といった具合にごく自然に飲食し、慣れさせられていったのです。本格的な世界のメニューが味わえるようになり、コスメティックやバストイレタリー売り場にカモミールが原料になっている商品が並べられ、一挙にカモミールがハーブティーのトップに立つことになったのです。