フェンネルは古くから薬用・食用に用いられてきたハーブです。古代ローマ時代には、すでに種子と若芽が食用として栽培されていたといいます。また、かつては生まれたばかりの赤ちゃんをフェンネル湯に入れ、目を洗うという習慣もあったそうです。昔はフェンネルが視力を高めると信じられていたのです。後に植物学者が視力を高める効果があると言い出し、目薬として使われました。「目のためのハーブ」といわれる理由です。

 ハーブでフェンネルといえば、スイート・フェンネル(茴香=ういきょう)のことを指します。ほかにはジャイアント・フェンネルといった種類が食用になります。一般に食用のフェンネルといえば、野菜のフローレンス・フェンネルを指すことが多いようです。イタリアでは、フローレンス・フェンネルを果物のようにデザートとして食べています。料理には葉、茎、種子と様々な形で使われています。特に相性の良い料理は魚料理です。フェンネルは、消化を助け、臭みを消すハーブとして魚料理には必ず用いられてきました。ヨーロッパでは「魚のハーブ」という別名もあるほどです。葉は細かくきざみ、スープやサラダの上に散らしたり、油っこい魚の料理に詰め物として使います。オーブンなどの鉄板の上に葉を敷き詰めて魚を焼いたり、蒸して臭みを消すとともに香りをつけたりもします。料理を盛る時の皿を縁取る飾りつけにするときれいです。花を摘んで、サラダの上に散らすエディブルフラワー(食用花)としても利用できます。

 ティーは種子を使います。アニスのような甘い香りがほのかに香ります。利尿効果があるので、軽いぼうこう炎やむくみ、水分代謝の悪い肥満に効果が期待できます。そんなことから「体重を減らすハーブ」ともいわれています。健胃、食欲増進、消化促進、風邪、せきを和らげます。また、女性の悩みの種である便秘や、おなかにガスがたまっていて苦しい時、月経不順、月経痛も改善するといわれます。急な腹痛や不眠症を治すのに利用されています。食後に飲めば消化を助けてくれます。母乳促進の効果もあります。授乳中に飲めば、母乳も出るようになると同時に、乳児の疝痛(さしこみ)も抑えます。「母と乳児のハーブ」ともいわれるゆえんです。