ローズ(バラ)は「花の女王」と呼ぶにふさわしく、外見の美しさだけでなく、甘い魅惑的な香りを持ちます。ローズに魅せられた人々によって盛んに交配が行われ、色や形、花弁の大きさなど、あらゆる面から美が追求された結果、世界にはおよそ2万種を超えるローズの品種が誕生しました。しかし、容姿の美しさを追求して改良を重ねた園芸品種は香りが随分失われていきました。香りに限っていえば、野生種や原種に近いものがはるかに強い芳香を持っています。そしてこの芳香こそまさに薬用成分の存在の証なのです。

 ヨーロッパにあるローズの原種は、ドッグローズ、スイートブライアー、フランスローズ、キャベツローズ、ダマスカスローズの5種類で、どれも香りが良いものばかりです。

 花や果実は薬用として古代ローマ時代から利用されてきました。水やオイル、アルコールを使って花弁から抽出したエッセンシャルオイル(精油)は、薬を飲みやすくするために用いられたといいます。エッセンシャルオイルを作る時、油分と水分をローズウォーター(バラ水)と呼んでいます。ローズウォーターは肌をしっとりさせて、乾燥した肌のかさつきを防止しますので、化粧水として用いられます。この化粧水の作り方は比較的簡単なので挑戦してみて下さい。まず、鍋(なべ)に香りの強い生のローズの花弁(前記の5種類がベター)を入れて、花弁が隠れるくらい水を入れ、弱火で数分煮出します。そして沸騰寸前で火を止めて蓋(ふた)をし、一晩置きます。翌日、ガーゼなどで漉して冷蔵庫で冷やせば出来上がりです。ただし、ハーブとして用いる時、注意しなければならないのは、農薬が使用されているかどうかという事です。花屋さんで売っているローズは絶対避けてください。

 ハーブとしては、香りの強い薬用や食用になる品種が用いられます。例えばドッグローズやスイートブライアーといった品種はローズヒップとして、一方、ガリカ種とケンティフォリア種の2種は花弁をローズペタル(花びら)として用い、どちらもハーブティーに良く使われています。